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有阪 真; 木村 貴海; 永石 隆二; 吉田 善行
Journal of Alloys and Compounds, 408-412, p.1307 - 1311, 2006/02
被引用回数:6 パーセンタイル:42.74(Chemistry, Physical)時間分解レーザー誘起発光分光法を適用し、高濃度塩化リチウム(LiCl)水溶液中の3価キュリウムの化学種と配位状態を調べた。3価キュリウムの発光寿命及び発光スペクトルから、その第1配位圏中の水分子数()と化学種の分布をそれぞれ決定した。さらに、化学種の分布に基づき、第1配位圏中の塩化物イオン数()を算出し、配位数(+)を評価した。LiCl濃度が6M以下の領域では、3価キュリウムの第1配位圏は水分子のみによって占められており、配位数は一定であることを明らかにした。6M以上の領域では、3価キュリウムが塩化物イオンと内圏錯体を生成していることを明らかにし、特に、10M以上の領域では、トリクロロ錯体及びテトラクロロ錯体が生成していることを見いだした。また、その配位数は6Mから10Mの領域では一定であったが、10M以上の領域ではLiCl濃度の増加に伴い減少することを見いだした。高濃度LiCl水溶液中におけるこのような配位数の減少はランタノイドでは見いだされておらず、アクチノイド特有の現象と考えられる。
尾崎 卓郎; 鈴木 義規*; 南川 卓也; 吉田 崇宏; 大貫 敏彦; 木村 貴海; Francis, A. J.*
Journal of Alloys and Compounds, 408-412, p.1334 - 1338, 2006/02
被引用回数:47 パーセンタイル:87.21(Chemistry, Physical)Eu(III)と土壌微生物シュードモナス,リンゴ酸,クエン酸及びシデロフォア(DFO)との相互作用を調べた。リンゴ酸はEu(III)に対する存在比が極めて大きい場合のみ、錯生成によりEu(III)のシュードモナスへの毒性を軽減させた。クエン酸とEu(III)はシュードモナスによって分解されない1:1錯体を形成した。Eu(III)はDFOに高い親和性を示すが、DFOから解離した水和イオンとしてシュードモナスに吸着した。時間分解レーザー誘起蛍光分光法により、シュードモナス上のEu(III)は多座の内圏配位錯体として吸着することを明らかにした。
尾崎 卓郎; 木村 貴海; 吉田 善行; Francis, A. J.*
Chemistry Letters, 32(7), p.560 - 561, 2003/07
被引用回数:5 パーセンタイル:26.49(Chemistry, Multidisciplinary)構造が類似した生体高分子であるキチン,キトサン及びセルロースへのEu(III)の吸着挙動を、分配比測定法及び時間分解レーザー誘起蛍光法(TRLFS)により調べた。Eu(III)のキチン及びキトサンへの分配比はlogK=24(gcm)であり、それらはセルロースへの分配比logK=0.53(gcm)より大きい。これらの生体高分子は類似した高分子構造を有するにもかかわらず、Eu(III)の配位環境は著しく異なることがTRLFSにより明らかになった。すなわち、キチンに吸着したEu(III)は内圏配位型,キトサンに吸着したそれは外圏配位型,セルロースに吸着したそれは、内圏型・外圏型の中間的な配位状態を示した。金属イオンと高分子との相互作用の解明には、高分子構造のみならず吸着イオンの水和構造の正確な把握も必要である。
尾崎 卓郎; 有阪 真; 木村 貴海; Francis, J. A.*; 吉田 善行
Analytical and Bioanalytical Chemistry, 374(6), p.1101 - 1104, 2002/11
被引用回数:24 パーセンタイル:57.86(Biochemical Research Methods)時間分解レーザー誘起蛍光分光法(TRLFS)によりユーロピウム(III)の配位状態を解明する手法を開発した。ユーロピウム(III)の蛍光寿命は原子に直接配位した水分子の数(N)に比例する。また、発光スペクトルのD→FピークとD→Fピークとの比(R)はユーロピウム(III)周囲の配位状態の対称性の指標となる。これまでに、ユーロピウム(III)の状態解析にTRLFSを適用した研究は多いが、NとRの相関を状態解析に利用した例はない。本研究では、ユーロピウム(III)の配位状態が既知である系を選び、NとRの座標上での分布を調べた。典型的な外圏配位型としてユーロピウム(III)-塩化リチウム溶液系,内圏配位型としてユーロピウム(III)-ポリアミノカルボン酸系を用いた。また、メタノールと塩酸の共存下で強酸性陽イオン交換樹脂に吸着したユーロピウム(III)の配位状態をそれらの中間型として利用した。その結果、NとRは配位状態に対応した特異的な分布を示した。これを利用すると、配位状態が未知なユーロピウム(III)のNとRのダイアグラム上での位置を決定することによって、未知の配位状態を解明できる。同手法は固液界面に吸着したユーロピウム(III)の状態解析にも適用できるという大きな利点を有する。本研究で開発した手法は生体高分子や微生物に吸着した系など、複雑な配位環境中のユーロピウム(III)の配位状態を解明するのに非常に有効である。
有阪 真*; 木村 貴海; 菅沼 英夫*; 吉田 善行
Radiochimica Acta, 89(8), p.593 - 598, 2001/08
被引用回数:11 パーセンタイル:61.99(Chemistry, Inorganic & Nuclear)f元素の陽イオン交換挙動におけるアルコールの役割について調べた。発光寿命測定による溶液及び樹脂中におけるM(III)[M=Eu, Cm]の内部水和数の決定、並びにそれらの分配係数の測定により、第1配位圏の水和状態と分配係数との相関について検討した。メタノール添加により、M(III)は溶液中の塩化物イオンに比べ樹脂中のスルホン基とより強く相互作用し、その結果、分配係数が増大することを明らかにした。